認知症認定看護師は認知症看護に携わった経験があり、さらに専門の教育機関で深く学んで知識と技術を身につけた人に与えられる資格です。認知症認定看護師は認知症看護の分野で熟練したケアを提供できるだけでなく、指導者として後輩を教育する役割も担っています。
需要が拡大中
高齢化の加速に伴い、認知症患者も急増しています。認知症の症状は多岐に渡り、もの忘れや暴言・暴力、徘徊などの周辺症状には対応が難しいケースもあります。適切なケアができなければ対応する看護師にも負担がかかり、ストレスの原因になります。対応が難しい場合は抑制や薬物療法に頼らざるを得なくなりますが、そうなるとケアの質そのものが下がってしまうため、患者のQOL(生活の質)も低下させることになります。
周辺症状を緩和するためにも適切なケアを行わなければなりません。しかし、残念ながら急増する認知症患者に対応するのに必要なスキルを持った人材が不足しています。適切なケアを提供するための熟練した技術と深い知識だけでなく、後進の育成にも貢献できる認知症認定看護師は今後ますます需要が高まっていくことでしょう。
取得について
認知症認定看護師の資格を取得するには、まず5年以上の臨床経験が必要です。そのうち3年以上は認知症看護に携わる必要があります。その後、専門の教育機関で6カ月以上かつ615時間以上の教育課程を修了し、認定試験に合格することで認知症認定看護師となることができます。
認定看護師制度の改正に伴い、2020年度から特定行為研修を取り入れた認定看護師教育がはじまりました。2029年度には完全移行し、認定看護師が認定分野の特定行為を行うことができるようになります。試験に役立つ書籍を以下に紹介していますので参考にしてください。
- 認知症の人びとの看護
主な活動内容
熟練した技術と深い知識を身につけた認知症認定看護師の具体的な活動内容について見ていきましょう。
認知症認定看護師は主に「実践」「指導」「相談」の役割を担い、現場をリードする存在です。実践とは、認知症患者の隠れたニーズを読み取り、専門的知識にもとづいた適切なケアや環境整備を行ったり、合併症に配慮した健康管理や地域との積極的な連携などを行ったりすることです。この実践を通じて、認知症の諸症状への対応を指導したり、勉強会を開催したり、マニュアルの作成なども行います。また、症状の悪化により介護に行き詰まった家族の相談にも応じています。
認知症認定看護師の数はまだそれほど多くありません。しかし、高齢化が加速する中で認知症認定看護師の需要が高まることは明らかです。今後はこれまで以上に必要とされる場が増えるでしょう。